雑誌名「日本の眼科」2001年8月号 掲載
監修:矢沢 興司
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田 淵 昭 雄
(元川崎医科大学眼科教授) |
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矢沢興司博士(矢沢眼科医院長、順大眼科講師)が監修されたCD-ROM:視力異常早期発見・訓練ソフト「子どもの目の健康マニュアル」は、小児眼科を専門にしている私にとってまさに「こういうものを作る必要があった」と思うほど素晴らしいものである。 若いお母さん達は、子どもの目が悪いことに気付いたり、診断されたりすると、家庭医学書を読んだり、パソコンでホームページを開いて勉強していることが多い。特に「視力」への関心は極めて高いため、「視力障害」の原因、治療法や予後の説明は一筋縄ではいかない。その上、かなり慎重かつ時間をかけて理解してもらったと思っても、「眼鏡」の話が出た途端に強い拒絶反応を示したり、別の診察時に「今日は、お父さんも一緒に来たので、もう一度説明して下さい」という時はうんざりする。このような時は、常々、今回のようなCD-ROMがあれば、診察医は何回も説明をしなくても済むし、忙しいお父さんも夜中など自由な時間にゆっくりと病気のことを気の済むまで解説を見聞き出来ると考えていたものである。IT革命政策の一環として、パソコン講習が各地で行われるようになってきているこの時期に、今回のCD-ROMの発売は本当にタイミングもよく、広く利用される可能性はある。 さて、内容は「ものを見るしくみ」、「子どもの目の病気」、「弱視ってなあに?」、「弱視はなおる!」など病気の概念から治療について解説したDISC1と、「ぐーきょろとあそぼう」という蛙(ぐーきょろ)のキャラクターと一緒にゲーム感覚で愉しみながら、塗り絵、隠し絵探し、迷路など、これまで退屈なものであった弱視訓練を多くのゲームを通して行える、DISC2からなっている。 まず、DISC1を開くとやさしい女性の声で説明がある。そして、知りたい項目をクリックすると、即座に分かりやすい目の構造とか、見える仕組みや病気の種類などが画面に示され、解説されて行く。分かりにくい医学用語があれば、その語句をクリックすると詳しい解説が表示される。これは「いい」と思ったが、ここでは声の解説がなく、読まないといけないのは、ちょっと片手落ちと感じた次第である。しかし、何と言っても説得力があるのは、矢沢先生ご自身の姿をビデオで写し出して、「弱視治療」の必要性を自信を持って説得されていることである。医師の説明が「治療に参加してもらうために」どれだけ重要かを意識されたもので、この項目があるからこそ、このCD-ROMが生きたものとなっている。 DISC2のゲーム編は、弱視治療を行う医師やORTなら、誰もが「なるほど、これはいい」と思うだろう。たとえば、検眼遮閉して患眼動作する訓練を、楽しみながら、しかも母親も参加して行えるソフトはマウスに違和感のない世代にはもってこいである。紙も要らない、色鉛筆も要らないのは時代に合っている。今後、高年齢層用の色んなバージョンも出ればもっと好いだろう。また、ゲームでうまく行けば、「あたり!」とか、間違えると「ざんねん!」など、その他、もう少し声による導入が欲しい、と思う箇所が幾つかあった。若い先生も一度ご覧になって、どうのようにinformed consentをとったら良いか、どのような弱視訓練があるかを勉強して欲しいと思う次第である。 |